カジノビリオンズ

【完全解説】カジノ法案

そもそもカジノ法案とは

通称「カジノ法案」ですが正しくは「統合型リゾート(IR)整備推進法案(「IR法」とも言います)」です。正式名称は「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律」となります。

「つまりどういうこと?」と思うかもしれません。この法案を要約すると、「みんなが楽しめる統合型リゾート施設を作っていきましょう」ということです。

このリゾート施設の中にカジノが含まれるため、一般的に「カジノ法案」と呼ばれているわけです。統合型リゾート施設に含まれるものとして、ホテルやショッピングモール、映画館、プール、国際展示場、そしてカジノがあります。

図で説明するとこうなります。

大人・子ども、老若男女が楽しめる場所。それが統合型リゾートなのです。

実は現在、世界各国で新たに作られているカジノのほとんどが、この統合型リゾートの一部として計画されています。

なぜなら、カジノ単体では集客に限度があるからです。家族そろって遊びに来て、それぞれがそれぞれの遊び方で楽しみ、お金を使う。現代に合わせたカジノのあり方ですね。

事実、カジノ単体のイメージが強いラスベガスやマカオでも、高い人気を誇っているのは、総合的にエンターテインメントが楽しめる統合型カジノ施設です。外国からの収入を狙った、インバウンドを軸に「日本でも統合型リゾートを作って経済を潤しましょう」という目的でカジノ法案は生まれたのです。

ただ、日本での賭博は禁止されています。国から許可を受けた公営ギャンブルは4つ、競馬/競輪/競艇/オートレースです。他にも少しことなりますが宝くじも含まれます。(賭博とみなされていないパチンコ・パチスロは例外とします。)

単なるリゾート施設にカジノを含むからこそ、この法案が世間を騒がせています。

カジノ 法案

カジノ法案のメリットとデメリット

当然のことですが、カジノ法案にはメリットとデメリットがあります。
法案に賛成する人はメリットをことさらに声高に叫びますし、反対派はデメリットを強調します。
それでわかりづらくなっている部分もありますので、ここではメリット、デメリットをそれぞれ挙げ、問題点も指摘しておこうと思います。

メリット

1.収益が増える
カジノを含むIRができれば、当然、お客さんがやってきます。
そこから見込まれる収益は、ある計算では1カジノ辺り年間1兆5000億円に上ると言われています。
ほかの施設の収入も含めれば、金額はさらに上がります。また、カジノ建設への投資なども期待されています。
ただし、今回のコロナのようなことが起これば、インバウンドの収入は一気に減りますし、そもそも客が入らないというケースもないとは言えません。

2.雇用が増える
カジノを含むIRでは、働く人が必要になります。その人数は、試算によるとだいたい15000人ぐらいと言われています。
これに関しては間違いのないメリットです。特に雇用が減っている現在、大いに期待できるポイントです。

3.観光業が活性化する
外国から来たお客さんたちは、なにもカジノだけで遊ぶわけではありません。
カジノ目当てで来た人が、日本のほかの地域を訪れる機会は増えるでしょう。
飲食店やお土産屋なども収入増が見込めます。
ただし、そもそもカジノ目当てで日本に来るのか、という大きな問題はあります。
(すぐ近くにマカオという巨大マーケットがあるのに、とよく指摘されます)

デメリット

1.治安が悪くなる
外国人が一斉に集まることによって、治安が悪化するのでは、と言われています。
また、賭博には反社会勢力が食い込んできやすいことから、危険視される声も聞かれます。
実際、外国のカジノでも周囲で売春が行われていたりすることがあります。
ただ、カジノ単体ならともかく、統合型リゾートでそうなるかというと疑問です。

2.マネーロンダリングが行われる
反社会的勢力が資金洗浄のためにカジノを利用するのでは、という意見があります。
これに関しては「あり得る」というのが現状でしょう。特に日本はマネーロンダリングへの対応が弱い面があります。

3.ギャンブル依存症が増える
カジノが合法化されれば、日本人で遊びにくる人も増えてくるはずです。
当然、ハマる人も出てくるでしょうし、ギャンブル中毒に陥る人も増えてくるでしょう。
とはいえ、現在だって潜在的なパチンコ等の依存症者は相当数いると思われます。
それと比べて一気に増えるとは思えません。

こう見てみると、メリットにもデメリットにも、納得できる点とできない点があるのがわかると思います。
カジノ法案はメリットを挙げて施行を求めていますが、だからといってデメリットを無視しているわけではありません。
議論の中で、デメリットへの対策も打ち出しています。
そのうえで、カジノ設立に関しては、賛成できるか、反対するのか、でいまだ揉めているのです。

カジノ法案はこうして可決された

カジノ法案が通ればすぐにカジノができるか、というと、じつはそう簡単ではありません。
カジノを作るためにはほかにもさまざまな法案を通さないとならないのです。
しかも、地方自治体との交渉や、管理委員会の設立、場所の認定などなど、問題は山積みになっています。

カジノ法案関連のニュースがややこしい、と言われるのも、このためです。

そこで、ここではできるかぎりわかりやすく、カジノができるまでの流れを紹介したいと思います。
まずはこの図を見てください。

では、順を追って解説します。

2016年12月 IR推進法(カジノ法案)成立
カジノを含む統合型リゾートを作っていくことを、国の主導で進めると決定。

2018年7月 IR実施法成立
カジノを含む統合型リゾートを作るための具体的な方針が決定。
これにより、設置場所、事業者を選定すること。カジノ管理委員会を設立すること。カジノ運営に関する免許を交付すること。カジノ建設によって生じる問題に対処すること。が、法律によって決められる。この法案も含めて「カジノ法案」と呼ばれることもある。

2018年7月 ギャンブル依存対策基本法成立
ギャンブル依存症に対応するための方針が決定。
啓蒙活動や防止・回復のための活動などが示されているが、実質的にはほとんど機能していないのが現状。

2020年1月 カジノ管理委員会発足
カジノの免許発行、事業者の監督、依存症対策の具体来な活動を行う組織の設立。

2020年1月予定 統合IR法基本方針策定
ここから遅れが生じています。カジノ法案に関する汚職問題などもあり、当初の1月から、3月~4月に延期。
したはずなのですが、2020年5月25日現在、いまだに基本方針は策定されていません。
これが決まらないと、具体的にどこにどんなカジノができるのか等は決まりません。遊べるゲームの種類も同様。
いまのところルーレットバカラブラックジャックスロットなどが遊べるようになるだろう、と言われていますが、それも確定ではありません。
法律上、7月26日までに策定しないとならないため、そこまでの間に発表になると思われます。

都道府県による事業者の公募・選定
基本方針が策定されていないため、各都道府県も動けないでいます。
あとで詳しく解説しますが、現状、立候補している場所もあまり多くありません。

国土交通省による区域整備計画の認定
これにより、国内で開業するカジノの場所、事業者が確定します。
基本方針の策定から、ここまでおよそ2年ほどかかると言われています。

免許の発行、カジノの建設開始
ここまで来てようやくカジノの建設がスタートします。

統合型IR(カジノ含む)オープン
免許の発行から3年程度かかると予想されています。
現状で言えば、最短でも2025年開業となります。

カジノ法案に関しては反対派の激しい運動があったり、汚職事件があったり、で予定がかなり遅れています。
さらにコロナ騒動があり、いまはほとんど停止してしまっている状況です。
当初はオリンピックに合わせた2020年オープンなどとも言われていましたが、いまの状況では2025年に開催の大阪万博にも間に合わないかもしれません。

カジノは日本のどこにできるのか?

IR実施法の基本方針が正式発表されていないため、各都道府県も動くに動けない、というのが現状です。
しかし、カジノ誘致に積極的な姿勢を示している場所もなかにはあります。

日本でオープンできるカジノは3か所と言われています。
その席を賭けて、いま各地域の熱い招致合戦が始まろうとしているのです。
現在、名乗りを挙げているなかで、特に注目を集めている自治体は次の通りです。

和歌山県、長崎県、大阪府、大阪市(申請を予定)
北海道、横浜市(誘致の意向を表明)
名古屋市(前向きに検討中)
茨城県、東京都、千葉県(検討中)

このなかで最有力候補と言われているのが、東京都、大阪市です。
大阪はすでに「立候補する」と宣言していますし、カジノがオープンできる最短の2025年には万博も控えていますから、ほぼ確定と言ってもいいでしょう。
地域的には東京都が圧倒的に有利なのですが、同じ関東圏で横浜が積極的な姿勢を見せているため、どちらになるかはわかりません。
(ちなみに、横浜は市長が誘致に積極的ですが、激しい反対運動も起きています)
残る1つの枠に関しては、まったく予想がつかないと言っていいでしょう。

北海道、名古屋、長崎辺りは、どこに決まったとしてもおかしくはありません。
いまだ表明こそしていないものの、沖縄なども伏兵として急に出てくる可能性はあります。

カジノ法案の現状を考える

何度も述べてきましたが、IR実施法の基本方針が正式発表されないかぎり、日本カジノ実現化はあり得ません。
現状で発表されている案に関しても、あくまでも案であり、どうなるかは予断を許しません。

そのうえで、現在わかっている限りのことを考えてみます。
いまのころ、こうなるだろうと予想されているのは以下の通りです。

・当面は作られるカジノは3カ所。
・日本人の入場料は6000円。外国人は無料。
・日本人の入場回数は週3回、月10回。
・マイナンバーカードによる本人確認がある。
・カジノ事業は免許制。
・カジノ業者に課す納付金は収益の30%。国と施設の立地自治体とで15%ずつ分ける。

事業者に関してはラスベガス・サンズ、ウィン・リゾーツ、メルコリゾーツなどが日本進出を表明していましたが、コロナ騒動のせいで、サンズとウィンは撤退するらしいという噂が流れています。今後どうなっていくのか、こちらも目が離せません。

いずれにしろ、とりあえずはIR実施法の基本方針を待つ以外には手はなそさうです。
オープンは早くてもおそらく2025年。その日をしばらくは待つことにしましょう。

カジノ法案

カジノ法案Q&A

Q:実際のカジノでは、どんなゲームが遊べるの?

A:多くのランドカジノで採用されている、ビデオスロットルーレットバカラブラックジャックは、おそらく採用されると思われます。大小(シック・ボー)や、ポーカーなどは、いまのところ遊べるかどうかはわかりません。

Q:オンラインカジノのようなボーナスはもらえるの?

A:ボーナスはオンラインカジノ特有のサービスです。ランドカジノでは残念ながらもらえません。しかし、その代わり、飲み物や食事が無料になるサービス等は提供される可能性があります。この辺の詳細に関しては基本方針の発表を待ちましょう。

Q:オンラインカジノも合法になるの?

A:カジノ法案はオンラインカジノについては言及していません。実際にランドカジノができても、オンラインカジノとは別物だと理解しておきましょう。

Q:カジノではクレジットカードは利用できますか?

A:これも基本方針が決まらないとはっきりとしたことは言えません。海外のカジノでも、使えたり、使えなかったりといろいろです。カードの種類によっても利用できたり、できなかったりする場合があります。