カジノビリオンズ

物理学によるルーレット攻略アプローチ

ブラックジャックの戦略に典型的ですが、それ以外のカジノゲームにおいても攻略の道具として統計学はしばしば登場します。
一方、確率論ではなく、物理学を使って攻略できるカジノゲームも存在しています。それはルーレットです。

物理学に基づいたアプローチでルーレットを攻略するために、近代情報通信理論の父とも言われるクロード・シャノンと、ブラックジャックのカードカウンティング理論でも有名なエドワード・ソープが、ボールの移動速度を計測してルーレットの出目を予想する世界で初めてのウェアラブルコンピュータを共同開発していた話は有名です。

機械計測での出目予想はあまりに強力だったため、1985年の5月、このような装置の使用は違法として禁止されることとなりますが、このエピソードは、ルーレット攻略に対する物理学的アプローチの有用性を示唆しています。

そして、禁止されたからといって、必ずしもこのような攻略法に機械が必要なわけでもありません。精度は落ちますが、人手でだって不可能ではないはずです。
それでは、物理学でルーレットを攻略するために、どのような要素を考慮しなくてはいけないのか、具体的に考えてみましょう。

ルーレットホイール

リリースポイント

ディーラーにはそれぞれ、その人独自の癖のようなものがあります。このようなディーラーの傾向を探し出すのが、攻略の第一歩です。
通常ほとんどのディーラーは、毎回ルーレットホイールに対して同じ立ち位置からボールをリリースしています。単純ですが、このリリースポイントを把握しておくことは非常に重要です。

ボールの回転速度

ボールがトラックにリリースされるポイントが分かったら、次に必要な情報はなんでしょうか? それは、ディーラーがどれくらいの速さでボールを放っているのか、その初期速度です。
リリースされた地点までボールが最初の一周をするのにかかった時間とホイールの円周長が分かっていれば、そのスピードがどの程度の数値なのかは計算できます。根気の必要な作業になりますが、何回か同じことを計測して平均をとれば、目の前のディーラーがどれぐらいのスピードでボールを投げているのか分かるでしょう。

ホイールの回転速度

ホイールはディーラーがボールを投げ込んだ方向と逆向きに回転しています。このホイールの回転速度が変わらないと仮定すれば、リリースポイントとボールの回転速度を知ることで、どのあたりのポケットにボールが落ちるのかというのがおおまかに見えてきます。ボールが転がる場所がいつも同じホイールの上である限りは、同じ速度で打ち出されたボールなら同じ移動距離で止まるはずですよね。

では、カジノルーレットのホイールはどのように回転しているのでしょうか。
稀に自動回転をし続けているテーブルも存在しますが、実は大抵のテーブルではディーラーが都度手で回しています。一見ずっと自動で回り続けているようにも見えるホイールも、摩擦が極めて小さい構造になっているためにそのように見えているだけなのです。
機械で自動回転させていると、プレイヤーに不利に働く操作をしていないかと、あらぬ疑いを持たれてしまわないとも限りませんから、それを避けるために人手で回すのが一般的になった。そんな経緯もあるようです。

そして、結局それならホイールの回転速度は分からないんじゃないか、と心配されるかもしれませんが、大丈夫です。ディーラーによって、ホイールを回転させる頻度と力はほぼ一定になっていることがほとんどです。こちらも、ホイールの外円上のどこかの点を基準にして、1回転するまでの時間を測ってみてください。数回計測して平均を取り、それを何度か繰り返して比較してみると、ホイールの回転速度もかなり一貫したものになっていることに気付くはずです。

ルーレットホイール

結び

コンピュータを用いてこれらの情報を正確に計測して、予想することができれば、5マス範囲の精度でボールが落ちるポケットを的中させることができるでしょう。一方、実際に人手で挑戦する場合には、精度もぐっと下がりますので、およそ15マス範囲での的中を目標に設定してみてください。

ただし、ご覧いただいた通り、このルーレットの攻略法には複雑な要素が絡み合っています。ふらっとカジノに立ち寄ってすぐに快勝、というわけにはいきません。
これを思いついて挑戦しようとした人はこれまでにも無数にいますが、そのほとんどの人が途中でストレスに耐え切れずに諦めてしまったような、数日かかりにもなる綿密な準備と下調べが必要な大変な作業なのです。近い距離で実際にホイールを観察しないといけませんから、実際にそのテーブルに座って、時間だけでなくお金も投資する必要だってあります。
それでも、難しくもその分の見返りはある、価値のある挑戦だと言えるでしょう。

ただし困ったことが1つ。
ランドカジノもオンラインカジノのライブルーレットも、最近ではCG合成された動画を使ってゲームを進行するテーブルが増えています。アナウンスにも録音音声が使われ、そこに人のディーラーの姿はありません。
このようなルーレットの無人化が進む裏には、いくつかの理由があるようです。
熟練したディーラーはある程度狙った範囲にボールを落とすことができるとされていますが、これは、カジノに厄介なトラブルをもたらしていました。
自分の賭けが外れた原因をディーラーに求めて、物言いをつけてくる性質の悪いプレイヤー達もいれば、特定のプレイヤーと結託して、ボールの投げ方を調整して勝たせることで、カジノに対してイカサマを働こうとするディーラーだっているのです。
また、そんな問題を抜きにしても、人間のディーラーを雇うのにはお金がかかります。よほどの美人であれば、給与以上の利益をカジノにもたらしてくれることもあるでしょうが、もちろんそんなことはごく稀で、その費用だって馬鹿になりません。
色んなリスクを取り除きつつ、人件費まで削減できるというのですから、カジノがこれを推進しない理由はないですよね。

物理学に基づいたルーレット攻略。困難であり、大変な試みですが、こんな挑戦をするチャンスがあるのも、今だけのことなのかもしれません。